
ホルムズ海峡と中東情勢――選択的通行と続く緊張
ペルシャ湾の情勢は、依然として市場の最大のドライバーだ。ここ数日、中国やインドのタンカーがホルムズ海峡を通過し始めたことで、一瞬緊張が緩んだように見えた。イランが選択的に通航を許している兆候で、特にインド船や一部の中国関連船舶が無事抜けている。全面封鎖ではなく、敵対国を狙ったピンポイントの妨害にシフトしているのかもしれない。それでもイスラエルは攻撃を続け、イランはドローンとミサイルでサウジやUAE、バーレーンなどの湾岸諸国を叩き続けている。民間インフラや港湾施設への被害も広がり、力の均衡はまだ崩れていない。
トランプ政権側では、ウィトコフ氏がイランとの接触を再開したとの情報が流れている。核交渉の残滓を拾い上げて停戦の糸口を探っているのだろうが、トランプとしては一刻も早く「勝った」と宣言してTACOしたいはずだ。ただ、現実はそう甘くない。イラン側が海峡のコントロールを握った格好で、戦争の長期化スイッチはテヘランが握っているように映る。
原油・ドル・市場の分岐点――長期化シナリオの現実味
イランにとって理想のシナリオは明らかだ。できるだけ長く海峡を締め上げ、米経済に痛手を加え続け、中間選挙で共和党を叩き潰すこと。原油はすでに100ドルを大きく超えており、ブレントは現在103ドル台前半、WTIも95〜96ドル近辺で推移している(3月17日時点)。一時は100ドル割れの場面もあったが、供給不安の再燃で再び跳ね上がった格好だ。IEAが過去最大級の備蓄放出を決めたとはいえ、効果は限定的で、市場の不安は根強く残る。
一方で、有事のドル買いがいつまで続くかは怪しくなってきた。覇権の黄昏を意識する市場参加者が増え、ドル安への転換が一気に加速するリスクも視野に入りつつある。原油高が米国内インフレを再燃させ、トランプの経済公約に逆風になる可能性も否定できない。結局、相場はホルムズの「選択的通行」がどこまで続くかにかかっている。イランが本気で全面封鎖に踏み切れば油は140ドル超えも現実味を帯びるが、今のところは「ギリギリの綱渡り」が続きそうだ。市場は息を潜め、次の爆弾がいつ落ちるかを待っている。

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